緑豊かな起伏のある住宅地に建つ賃貸用共同住宅は、敷地の高低差を生かして段差を持たせた設計になっています。真っ白な外壁に小さな出窓が個性的な表情を作り出しています。外構はプロのガーデナーの選りすぐった植物が植えられています。
エントランスです。なだらかな傾斜地に佇むそのシンボリックな姿は賃貸用の共同住宅とは思えないクオリティです。外壁や玄関扉に用いた暖かみのある木材がシンプルな白壁にアクセントをもたらします。街路樹や明るい雰囲気を持つ植栽そして青空に映える落ち着きのある外観です。
街路樹の木漏れ日とその影が作り出す自然の移ろいが建築物を通して感じられます。これほど 心地良さを感じられる賃貸住宅の共用階段って滅多にないですよね。
玄関を見てましょう。黒のタイル敷きの土間とホールが一体化したデザインです。真っ白な収納や壁とのコントラストがモダンな玄関の印象を与えます。建具の上部にはめ殺し窓を設け玄関に採光を確保しています。階段を下りると主要な生活空間へと続きます。
階段を下りると正面がダイニングエリアです。天井高を高く確保しているためロフト空間が生まれ、高窓も設けられました。大きな開口によって外部との関わりを持たせた内部空間です。
ダイニングからリビングエリアを見てみましょう。ロフトによって天井高が抑えられたリビングは引き戸によって仕切ることができ、落ち着いた空間を演出することが可能です。また連続する木の梁を見せることで他の空間との差異を生み出しています。
こちらの住宅は玄関ホールと主要な生活空間が同レベルに配置されており、必然的にロフトも通常の階高に設置されています。玄関ホールはフローリング仕上げです。
リビングからダイニングを見てます。照明とベランダの配色を統一してディテールにも凝っていますね。セミオープンなキッチンでコミュニケーションも楽しくなるような間取りです。街路樹の眺めが素敵ですね。
屋根の傾斜を生かし天井高を十分確保したLDK空間はかなり開放性を感じます。小さな出窓が採光や換気の確保のみならず空間に動きを与えるインテリアの一部となっています。
垂直方向に立体感を持たせ空間と空間を緩やかに繋いだ設計によってダイナミックかつ開放的な共同住宅に仕上がりました。プライバシーを確保しながら外部環境を十分に享受することができるのですね。
敷地面積には限度がありますがその恵まれた緑豊かな立地から外部環境との関係性を意識し、内部に自然を取り込んだ共同住宅です。シンプルなのに多様で豊かな空間、お金をかけなくても実現可能なことを教えてくれました。