コンクリートを湿度から保護する方法とは

林 直樹 林 直樹
KaleidoscopeⅢ, 澤村昌彦建築設計事務所 澤村昌彦建築設計事務所 Modern Houses
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一般的に建物の構造を支えるコンクリートは、セメントと砂、砂利、水を混ぜ、その中に配筋(鉄筋コンクリートの場合)され、強度を出しています。もちろんセメントの部分が鉄筋を覆い、鉄筋の強度が下がらないようにするのですが、表面をきちんと防水しないと徐々に内部に水が浸透し、最悪の場合、鉄筋が水分と反応して錆び、ひび割れの原因になることもあります。また一般的にコンクリートは長時間かけて徐々に乾燥し強度を高めていくと言われていますので、防水対策は必須です。この記事ではコンクリートの防水方法についてご紹介します。

防水工法の違い

一般的にコンクリートを防水する方法は、表面に何か加工をする方法しかありません。しかし加工方法には一般的に3種類に分けられます。ひとつめは塗膜工法と呼ばれる、液状の防水素材を塗布する方法です。これが最も一般的だと言われています。どのようん場所でも施工できることも魅力です。ふたつめは塗ると貼るを同時に行う工法です。粘着性と防水性を兼ね備えた素材を塗布した上で防水シートを貼りつける手法です。これは塗膜工法よりも耐久性があると言われています。もうひとつは単に防水シートを貼る方法です。この手法は単に防水シートを貼るだけですので簡単に施工できると言われています。様々な防水工法はその種類によって使い勝手やコストが異なりますので、業者とよく相談して決めましょう。写真は庄司寛建築設計事務所 / HIROSHI SHOJI ARCHITECT&ASSOCIATESの吉川の家 / House in Yoshikawa

セメントによるもの

セメントによる防水は、正確にはセメント系防水塗膜剤を塗布するという意味になります。特に有害な成分を含まず、比較的簡単に施工できるため、比較的メジャーな防水手法と言えると思います。一説には他の有機溶剤系防水剤と比べ環境負荷が少ない防水工法であるため、近年需要が伸びていると言われます。またこの手法は液体で塗膜するため、凹凸のある部分でも簡単に塗膜することができます。主に屋根やベランダ、廊下やサッシ周りから、屋内の浴室、厨房、トイレなどでも使われる広い用途で使われる防水手法と言えそうです。コンクリートのリビングルームのアイディアはこちらを参照してみてください。

写真/北嶋俊治

コーティングによるもの

コーティングによる防水工事は様々な方法がありますが、基本的には現場で液状の防水塗料を塗り、化学反応で防水の膜をつくるということになります。上記のセメント系に近いですが、ここではウレタン防水と呼ばれる手法をご紹介します。ウレタン防水は全国の防水工法の半数近くと言われるほど最も主流の工法です。液状のウレタンを複数回塗膜することで防水膜を作ります。やはりこちらも液状の材料を塗膜するので、複雑な形状の部分でも施工可能です。また主流な工事なので、業者が多く、技術の高い工事を期待することができます。また費用も一般的に安めと言われています。一方で、耐用年数は短いと言われています。

疎水によるもの

疎水というのは、親水の逆の意味で、水に馴染みにくいという意味です。疎水による防水手法も同じく塗布によるものです。特にコンクリート打ち放し面で活用でき、コンクリートの素地の良さを生かしながら疎水に加工することが可能です。疎水において最も重要なことはムラを作らないこと。ムラができてしまうと疎水力の弱いところに水分が集中し、そこから劣化が始まってしまいます。疎水剤の多くはムラにならない工夫がされていると言われています。またコーティングと違い、樹脂に撥水剤を添加したものとは異なるため、疎水塗膜がる間は、その機能が持続すると言われています。

コンパウンド

コンパウンドは、上記の手法とは異なり、充填剤を埋めることで、防水を行う手法です。特にサッシ周りなどで使われますが、コンクリートの防水にも有効です。コンクリートの目地部分や水が流れやすい場所にコンパウンドを充填することで、一部分に水分が集中することを避けることが可能です。最もベーシックで簡単にできる防水工事といえます。ホームセンターで充填剤を簡単に買うことができますので、DIYで防水工事をするならここから始めてみてはいかがでしょうか。

写真 繁田諭(Satoshi Shigeta)

どの手法が適切なのでしょうか?

どの防水工法がいいのかは、条件によって分かれます。確かにコンパウンドのようなものは簡易的には防水につがなりますが、どちらかといえば一時的な応急処置で根本的に問題がある場合は対処できてないケースもあります。一方で大掛かりな防水工事はコストもありますし、業者選定など様々なプロセスもあります。どちらにせよ防水工事は問題が起こる前に行うべきでしょう。建物の経年劣化、気候の変化によって建物の状況は刻一刻と変化しています。すべてのことを前もって対処することはできませんが、大切な住宅を長く使うためにも防水について見直してみてはいかがでしょうか。コンクリート建築についてはこちらも参照してみてください。

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