土間は古くから日本の住宅に取り入れられてきた空間であり、玄関を中心に馴染みのあるものだと思います。一時期は暮らしや家のスタイルの変化によって、それを見ることも少なくなりましたが、近年その魅力が再認識され、住まいに取り入れる方が増えているようです。しかし、その取り入れ方は現代のライフスタイルに合わせて非常に多様なものとなっています。そこで今回は、暮らしを便利にしてくれる土間の取り入れ方について紹介していきたいと思います。
土間の取り入れ方としてまず紹介したいのが、大開口のある開放的な土間空間です。土間は、室内と屋外の中間領域であることから、こちらの住まいのように、その空間に大きく開口を開けることで、住まいに開放感がもたらされるだけでなく、室内と土間、そして屋外を行き来しやすいという動きや使い方としても開放的なスペースとなってくれます。こうした場所で、ハンモックを吊るしてくつろいだり、遊びスペースとして利用するなど多目的に使えることも魅力となるでしょう。
写真:笹の倉舎/笹倉洋平
昔の日本の住宅では台所は土間にありました。このかたちにも様々なメリットがあり、近年でもキッチンを土間に配置する住まいを多々見かけます。その魅力は、汚れやすいキッチンの床掃除がしやすいこと、さらには、勝手口から靴を脱がずにそのまま買い物袋を台所まで運ぶことができる使いやすさでしょう。また、キッチンに立って調理をしている人と、ダイニングやリビングに座っている人との目線が丁度同じような高さにもなるので、コミュニケーションのしやすさも感じるのではないでしょうか。
▶「住まいの写真」ページでは様々な種類のキッチンを紹介しています。◀
キッチンだけでなく、ダイニングスペースも土間空間にしてみてはいかがでしょうか。これによって、上で述べたような床の汚れやすいスペースの掃除がしやすいという土間のメリットが活かせると同時に、キッチンとダイニングを行き来する時に、段差を上り下りする必要がないというメリットもあります。こちらの住まいのように、ダイニングテーブルの一方にはダイニングチェアを取り入れ、その反対側は土間の段差を使ってベンチのように設えることもできます。
通り土間とは、玄関から建物の裏側につながるような勝手口まで続いている通路として使う土間になります。このように家の中を横断するように土間を設けることで、例えば、買い物袋を直接キッチンまで持っていけるような、靴を脱がずに家の中を移動できるという便利さをもたらしてくれます。こちらの住まいのように、通路に飛び石のようなものを設ければ、靴を脱ぎ履きすることなく通り土間を横切ることもできます。
土間を玄関の近くに設けながら、そこを大容量の収納スペースとして取り入れることもおすすめです。これによって、靴などで散らかりがちな玄関がすっきりと整理しやすくなることはもちろん、自転車やガーデニング用具といった床が汚れてしまう物も玄関を入ってすぐに収めることができますし、室内に収納できるという安心感も魅力となります。
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