細長い敷地を生かし心地よい居住空間を実現した木造住宅

K.Matsunaga K.Matsunaga
直方の家 , nano Architects nano Architects Modern Living Room Wood Wood effect
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住宅地の整備化や土地の再利用が進んでいく昨今ですが、地域的にはまだ伝統的な街並みや、地域の慣習に則った土地割が残っているところもあります。平成の現代的な建築物が増えていく一方、昭和時代の文化が残る歴史的な建築は懐かしさや現代にはない新鮮さを感じさせてくれます。しかし、持ち主を失ってしまった建築の数々は風化していくだけのことも多く、どこか寂しげな佇まいを見せながら新たな主人を待ち続けます。都市部ではない地方では、そのような建築が集合する住宅街が残っていることも珍しくありません。今回ご紹介するのは、そのような町並みが残る福岡県直方市の住宅街に建つ新築住宅です。この地域独特の細長い土地を生かした個性的な住宅をNANO ARCHITECTSが完成させました。

船型の建築が個性的な外観

この地域での土地割によって、敷地の間口が狭く奥行きのある敷地にこの住宅は建っています。長屋のような雰囲気を思わせる細長い建物は独特な外壁の形状により船型の外観に仕上がっており、周囲の時を経た建築とは別の雰囲気を感じさせる佇まいです。伝統的長屋の特徴を取り入れたこの住宅は、限られた敷地形状でどのように居心地の良い居住空間を確保するかが追求され、また現代のライフスタイルとも融合させたオリジナルの建築となっています。

無垢材の木がふんだんに使われた内装

2階リビングが中心となる室内空間は、床材や建築構造の柱や梁に見られるような木をふんだんに使われた優しい雰囲気の内装に仕上がっています。素足で暮らすのが心地よく感じる無垢材の床材は、夏場もさらりとした肌触りで清々しく過ごすことができます。また熱伝導性も低いため冬場は温かさを感じる体に優しい素材です。上部に見える船型の天井はロフトとなっていて、2階リビングならではの天井の高さを生かしたユニークな空間を併せ持っています。

秘密基地のようなロフト

LDK上部に位置するロフトは、柔らかいカーブを描きまるで宙に浮かぶ船型の空間になっています。このロフトは、まるで秘密基地を思わせるようなコンパクトな空間ですが吹き抜けに面しているため窮屈さを感じさせません。遊び場として使ったり、ゆっくりと本を読んだりとさまざまな使い方をすることが可能です。建築構造材の柱や、床の仕上げにはLDKと同じように無垢材の木が使われているため、木の香りに包まれながら居心地良く過ごすことができるでしょう。

ロフトとリビングをつなぐ柱

ロフトの写真を見て、円柱型の柱になんだろう、と疑問を持った方もいらっしゃるでしょう。実はこれは、この円形の穴を通してリビングへ抜けることができる木の柱となっています。このロフトへ登る際には、別の入口から梯子を使いますが、降りるときにはこの木の柱を滑り降りてリビングへ移動することもできます。遊び心のある工夫により、LDKのアクセントになるとともに船型のロフトがよりワクワクする空間となる建築となりました。このユニークな仕組みによって家族との会話もはずむきっかけが生まれることでしょう。

スペースを有効的に使うパソコンスペース

子供部屋と水回りの間の、約1.5坪のコンパクトなスペースはパソコンスペースとして活用されています。壁面に添えられた梯子は、手前側の四角い天井の開口を通してロフトへ登ることができます。パソコンと、デスクとして使うことができるカウンターがコンパクトな家族共通の書斎として適度な居心地の良さを感じるようになっています。現代のライフスタイルには欠かせなくなったパソコンですが、限られた居住空間の中ではパソコンやプリンターのような作業スペースと設置スペースを必要とするものは置き場所に悩んでしまいがちです。このようにスペースとして活用ができるとすっきりと居住空間に馴染み違和感なく使うことができるでしょう。

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