日本は多様な気候が分布する島国。長い年月をかけてそれぞれの気候に応じた建築様式や住まい方も発展してきました。ご紹介する住宅は雪の多い北海道にATELIER MONOGOTOが手がけたもので、厳しい冬の季節に耐えうる暖かい住まいが光熱費などを踏まえながら計画されました。子ども5人の賑やかな家族のための楽しい住空間が魅力的です。
ご覧のとおり冬季は深い雪に覆われる場所です。郊外の住宅地の一角にある敷地は傾斜地にあるため、周囲の建物が見渡せるのんびりした環境にあります。3つのボリュームから構成されるように見えるユニークな形態ですが、内部は基本的にワンルーム。切り込んだ外部空間が内部に緩やかな領域を作っています。
玄関を入ると吹抜けと大きな開口を設けた大らかな内部空間へ続きます。地元で生産されるカラマツの無垢材を使ったフローリングが気持ち良さそうですよね。寒い地域なので床スラブに暖房用の温水配管を敷設し、効率的かつ快適な住環境を確保しています。お天気の良い日は大きな開口からたっぷりの太陽の光が取り入れられます。
子どもが5人いるクライアントが望んだのは家具のない床に近い生活。そのため住宅そのものが家具としての機能を備えたユニークなデザインが採用されています。玄関を入ると目を引くのが収納を兼ねた2階に続く階段。玄関側からは靴を入れたり、室内側からは本やおもちゃなどあらゆるモノが収納っできるようになった機能性抜群のエレメントは空間を緩やかに仕切る役割もしています。
ダイニングは掘りごたつ式のテーブルを設置。家族7人みんなが座れるようにたっぷりとした大きさです。小さな子どもたちの絶好の遊び場所にもなる楽しいアイデアですよね。そして何と言っても大家族ならではの想像を絶するような家事を軽減するべく、ダイニングと平行してキッチンを配置。さらに水廻り、家事室、納戸が一直線に並び、効率的な動線計画を採用しています。
キッチンやダイニングにいても2階の様子がわかる吹抜け空間は子育て真っ最中の親にとってはありがたいですよね。また子どもたちもこの大らかなワンルーム型の住まいでのびのびと育っていきます。ちょっとした段差と切り込んだ外部空間が領域を作り出す様々な居場所が生まれる個性的な住まいです。「家族が一体になれる海に浮かぶ小島の家」も子育て世代にぴったりの伸びやかな住まい、是非ご覧くださいね。
ダイナミックな空間を演出する存在感のある階段は下部にカウンターや腰掛けにもなる機能と引き出しも設けています。オリジナルなダイニングテーブルはもちろん遊んだり勉強をしたりする時も大活躍。各々好きな場所で好きなことをしながら同時に共有できる空間は、家族同士の豊かな関係性を築いてくれそうですよね。
2階の子ども部屋は壁の配色で領域づくり。明るく気分を上げてくれるパステルカラーの空間のおかげで寒くて長い冬を乗り切れそうですよね。基本的に家具を置かない生活を実現するために造作でたっぷりの収納も確保。 結果として作りすぎないデザインと遊び心で大家族が楽しく暮せる住まいが生まれました。