家の空間で重要となるのは住むことに必要な空間。ですが、それ以外のものも生活に大きな影響を与えます。例えば、庭はその1つと言えるでしょう。それは最も身近な自然になったり、心地良い生活を演出してくれます。今回紹介したいのは、そんな庭を活かした住まい。それを手がけたのは神谷建築スタジオ。建てられた「庭つくりの家」は、庭を存分に楽しめるものになっています。
今回家の建築を依頼したのは、植物や石などで庭のデザインを行う造園家。もちろん家には庭が造られることになります。ただし素晴らしい庭があったとしても、それと家が調和を見せなければ、せっかくの庭を楽しむことができないでしょう。ここでは日本庭園が造られたため、今回はそれに合う和を感じさせる木造家屋が建てられることになりました。
本住宅が建てられたのは愛知県の住宅地。そんな場所で建てられた家は多くの人目を引くでしょう。木造の建物の外観は伝統を感じさせるものになっています。重厚な瓦屋根の下に見えるのは縦格子の木の板。それは外壁の大部分を覆い、木の素材感を強く感じさせます。また窓などを覆っているため、家の中の様子を見せることはありません。そして同時に建物の印象に影響を与える窓や扉を隠して、シンプルで美しい外観を生み出しているのです。
家の中にあるのは広々とした空間。ダイニングルームにあるのは天井の高い吹き抜けが広がっています。そこに見えるのは多くの木。中でも天井、柱、梁などで木は強い存在感を見せています。そして広がりのある空間を木の茶色で覆います。そのため、ここでは木に包まれたかのような感覚を感じさせ、素材が持つ暖かさを十分に感じることになるでしょう。
本住宅では考えられたのは庭と調和する家。和を感じさせる住まいの空間は庭と美しい調和を見せています。その美しい眺めを、身近に楽しめるようにしたのが縁側や障子。屋内と屋外を繋ぐ縁側は、庭と家とを繋ぎ1つの空間にします。そして収納可能な障子は、その繋がりを保ってくれます。こうして生み出された屋内と屋外の繋がりは、美しい庭を楽しめる生活を可能にしてくれるのです。